社会福祉法人 若竹荘
既存施設は老朽化が進行し、耐震強度不足などの問題もあり、建替えることとなった。
建替えは、敷地内での既存施設を使用しながらの工事となる。
敷地の広さに余裕はなく、施設を使用しながら新たに建築できるスペースは限られている。階を上に積んでいく案も検討したが、その場合耐火建築物としなければならず、鉄骨造や鉄筋コンクリート造での計画となる。
かねてより鋼材価格などの建設物価が上昇しており、鉄骨造や鉄筋コンクリート造での杭工事や基礎工事にかかるコストも考慮すると、低層の木造建築のほうが躯体費を低減できそうであった。
また、木造の温かみのある建物の方がこの施設の用途によりふさわしいと考え、木造による建築を提案した。
建物を使用しながらの計画にあたり、新設建物はもとより、仮設計画や、既存施設に対する建築基準法や消防法などの関連法規への適合など、様々な難しい問題、課題が持ち上がったが、根気よく一つずつ検討し解決させていった。
建物は居住棟、管理棟、エントランス棟の3棟に分けて計画し、施工は、まず居住棟を建設(1期工事)、引越し完了後に既存施設を解体、そして既存施設があった場所にエントランス棟および管理棟を建設(2期工事)という順となった。
構造は木造の2階建て、準耐火建築物である。主要な空間の小屋組は、一部で燃えしろ設計によりあらわしとしている。
居住棟は建物の中心に吹抜のあるラウンジがあり、各世帯はラウンジに面して配置されている。このような用途の施設には居心地の良い共用空間をつくることが非常に大切であると考えている。
管理棟の集会・学習室は様々な利用に対応できるよう天井の高い大きな空間を計画した。
施設全体として、木の温もりを感じられるやさしい空間をつくることを考えた。
□所在地 愛知県
□竣工□ 2023.03
□用途□ 社会福祉施設
□床面積 956.05m2
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